航空写真で楽しむ全国廃線マップ：富内線

　　航空写真で楽しむ全国廃線マップ　：　富内線

■基本データ (1)

路線名　　：　富内線
廃止区間　：　鵡川－日高町
運営　　　：　国鉄
営業キロ　：　82.5km
廃止日　　：　1986/11/01
途中駅数　：　14

■基本データ (2)

路線名　　：　富内線 (旧線)
廃止区間　：　沼ノ端－豊城
運営　　　：　国鉄
営業キロ　：　24.1km
廃止日　　：　1943/11/01
途中駅数　：　4

■コメント

まず (1) の区間は、この路線が現役だった頃に撮られた1974-1978年の航空写真があり、６箇所あるトンネルの区間を除いたほぼ全ての区間が割としっかりと写っていた。
また廃止からかなり年数を経た (2) の区間も、路線跡の大半がほぼそのままの線形で道路に転用されたことから、1961-1969年および1974-1978年の航空写真のいずれでも、ひと目見るだけでどこが路線跡なのかが分かるほど明瞭に残っている様子が収められており、航空写真を目で追うだけでも楽しめる。
　
なお国交省データについてもコメントしておくと、(1) の区間についてはまずまずの精度だと言えそうだ。独自データ作成後に両者を重ね合わせてみてもズレが比較的小さくて、他の路線で見られるような、大きくかけ離れた場所を通るような箇所はあまり見られなかった。
ただし (2) の区間は、公開された国交省データの中には含まれていないようだ。「富内線」のほか、戦時買収で国有化される以前の「北海道鉄道」「北海道鉱業鉄道」「金山線」といったキーワードを旧字体表記も含めて検索しても探せないので、収録対象外だったのだろう。

■路線データ作成要領

前段「コメント」に記した通り、ほぼ全線にわたって路線の線形が航空写真に割と良く捉えられているため、まずは1974-1978年の航空写真を用いて路線データの作成を行い、位置精度を合わせるために最新の航空写真による補正を加えたのち、駅の位置やトンネル内の線形など空撮では分からない部分について、運行されていた時代の地形図を参照して補完する、という段取りで作業を進めた。
　
ただ、(1) の区間を地形図で確認しようとすると、かなり長い路線ゆえに、1/25000図で全線をカバーするために必要な図版が、「日高」(1982),「三岩」(1975),「仁世宇」(1975),「振内」(1975),「穂別」(1974),「荷負」(1974),「胆振豊田」(1974),「旭岡」(1974),「富川」(1974),「鵡川」(1978),「軽舞」(1978) という、実に全11点にも及んだ。
これだけ用意しても、駅の位置を特定する段階になると、1943年に早々と廃止されていた芭呂沢駅がどの地形図に描かれていないことが分かったのだが、廃止前の時代に遡ろうとしたところ、なんとこのエリアには1950年以前に刊行された1/25000地形図がないことが判明し、さらに1/50000地形図「佐瑠太」(1945) を追加することになっている（測量年や発行年が芭呂沢駅の廃止よりもあとの版だが、駅は何故か載っていた）。
　
そんな訳で、1943年に廃止された (2) の区間については、精度の低い1/50000地形図で見るしかなく、「千歳」(1935),「早來」(1935),「鵡川」(1935) の計３図を入手して作業することとなったが、トンネルがひとつもないこの区間は、基本的な作業がすべて航空写真だけで行えており、50000図の縮尺の粗さには駅の位置を決める際に悩まされた程度で済んでいる。

■使用した地形図
　

まずは(1)の区間の確認に要した計11点の1/25000地形図であるが、全ての図版をフルで扱うと途方もない大きさになるため、３つのエリアに分割した上で、この路線の構成に最小限必要な部分のみをトリミングして繋げることにより、データ量と貼り合わせ時の労力を節減した。また最初に表示されている画像は、ページ内に並べて収まるよう大幅に縮小しているため、クリックすると少し大きな画像が見られるようにしてあるが、原寸に近い大きさでの公開は許されないので、それでもサイズをかなり抑えている。

(1)-1 : 鵡川－豊田
(1)-2 : 穂別－仁世宇
(1)-3 : 岩知志－日高町

続いては芭呂沢駅の位置確認のため入手した1/50000地形図「佐瑠太」(1945) の一部で、こちらも掲載に当たって控えめな大きさになるよう縮小をかけているが、中央やや左下に、駅の記号と「ばろさわ」の文字が見えるだろうか。
なお、そこから線路を右上にたどった所にある隣の駅は、1943年に「旭岡」に改称されているはずの駅であるが、図中の駅名は改称前の「いくべつ」と読める。同じく1943年廃止の芭呂沢駅が載っていることといい、測量年や発行年が1945年とされている図版でありながら、実際は少し前の状況を元に作成されたもののようだ。

最後は(2)の区間が収められている1/50000地形図３点で、やはり路線の構成に必要な部分のみをトリミングして繋げたものだ。こちらも最初に表示されるのは大幅に縮小した画像で、クリックすると少し大きな画像が見られるようにしてあるが、原寸に近い大きさでの公開は許されないため、それでもサイズをかなり抑えている。
これらの地形図が発行された1935年当時、この路線は国有化されておらず、路線記号に「北海道鐵道」の文字が添えられているほか、のちに1943年開業の連絡線で結ばれる鵡川－豊城間にまだ線路が存在せず、すぐ近くに日高本線がありながら、完全に別路線として並走・共存していた様子が分かるのも興味深い。
wikipedia によれば、1943年に北海道鐵道金山線だったこの路線が戦時買収されて国鉄富内線となる際に、日高本線と路線が近接していた沼ノ端－豊城間が不要不急線として休止（事実上の廃止）され、豊城－鵡川間に新線を建設して日高本線と接続させた、という経緯があるようだ。

まずは(1)の区間の確認に要した計11点の1/25000地形図であるが、全ての図版をフルで扱うと途方もない大きさになるため、３つのエリアに分割した上で、この路線の構成に最小限必要な部分のみをトリミングして繋げることにより、データ量と貼り合わせ時の労力を節減した。また最初に表示されている画像は、ページ内に並べて収まるよう大幅に縮小しているため、クリックすると少し大きな画像が見られるようにしてあるが、原寸に近い大きさでの公開は許されないので、それでもサイズをかなり抑えている。
(1)-1 : 鵡川－豊田	(1)-2 : 穂別－仁世宇	(1)-3 : 岩知志－日高町

続いては芭呂沢駅の位置確認のため入手した1/50000地形図「佐瑠太」(1945) の一部で、こちらも掲載に当たって控えめな大きさになるよう縮小をかけているが、中央やや左下に、駅の記号と「ばろさわ」の文字が見えるだろうか。なお、そこから線路を右上にたどった所にある隣の駅は、1943年に「旭岡」に改称されているはずの駅であるが、図中の駅名は改称前の「いくべつ」と読める。同じく1943年廃止の芭呂沢駅が載っていることといい、測量年や発行年が1945年とされている図版でありながら、実際は少し前の状況を元に作成されたもののようだ。


最後は(2)の区間が収められている1/50000地形図３点で、やはり路線の構成に必要な部分のみをトリミングして繋げたものだ。こちらも最初に表示されるのは大幅に縮小した画像で、クリックすると少し大きな画像が見られるようにしてあるが、原寸に近い大きさでの公開は許されないため、それでもサイズをかなり抑えている。これらの地形図が発行された1935年当時、この路線は国有化されておらず、路線記号に「北海道鐵道」の文字が添えられているほか、のちに1943年開業の連絡線で結ばれる鵡川－豊城間にまだ線路が存在せず、すぐ近くに日高本線がありながら、完全に別路線として並走・共存していた様子が分かるのも興味深い。 wikipedia によれば、1943年に北海道鐵道金山線だったこの路線が戦時買収されて国鉄富内線となる際に、日高本線と路線が近接していた沼ノ端－豊城間が不要不急線として休止（事実上の廃止）され、豊城－鵡川間に新線を建設して日高本線と接続させた、という経緯があるようだ。